イタリア6日目から帰国まで

さて、イタリア旅行記がまだ残っていたので、6日目以降を。

6日目は観光の最終日。この日は一人でホテル前から出ているバスに乗って地下鉄の駅まで行き、地下鉄でローマの円形劇場前まで行き、まずはコロッセオを見学。ここでは昔、公開処刑が行われ、それが市民の娯楽にまでなっていたというから恐れ入る。ぞっとすると同時に、その時代に遡って、そっとその光景を、処刑場面ではなく、それを見て楽しんでいる人びとの様子を見てみたいとも思った。

その後、「ローマの休日」で有名なスペイン広場やトレヴィの泉 までさっと行って、14時過ぎからはバチカン市国に。ここまでは天候に恵まれて来たのだが、ここへ来てようやく雨が降って来た。

バチカン観光はオプショナルツアーだったのだが、現地の日本人ガイドが非常に美術に詳しい人で、鑑賞する際にそれがとても役に立った。バチカン自体はカトリックの総本山であり、曜日によっては新しい教皇を見ることも出来るようだが、あいにく今回は当該日ではなかった。

バチカン美術館は公式には「教皇の記念物」「博物館」と言うらしいが、様々な時代の美術館のほか、ミケランジェロ等の絵画やコンクラーヴェの開催場所としても知られるシスティーナ礼拝堂、図書館なども見学コースに含まれている。キリスト教美術だけでなく、世界各地の民族美術や近代美術なども展示されており、全部見て廻ると7kmはあるとのことだが、今回のツアーは、システィーナ礼拝堂までとなっていた。とにかく、どこからどこを眺めても、素晴しいとしか言い様のない古代からルネッサンス期の絵画や美術品の大盤振る舞いであり、途中にはダリの絵なども飾ってある近代画のコーナーもあったのだが、それを素通りするくらい、数の上でも古典ものが圧倒的なのであった。
     
ウフィッツィ美術館が序の口だったと書いたのは、そういう意味である。

最後にシスティーナ礼拝堂で「参りました。しかし、もう満腹です」と思いながら外に出た頃には雨も止んでいた。最寄りの地下鉄駅に行くまでの間に見つけた庶民的な感じのレストランで、スパゲッティを食べて地下鉄に。地下鉄を降りて、ホテル方面行きのバスを30分ほど待ったが来ないので、一人なのでボラれることもないだろうと、タクシーに乗った。ちゃんと空いた道を通ってホテルまで届けてくれたので、少しのチップを渡して降りた。

7日目はローマを発ってミラノへ。ミラノ空港に着いた頃には、手荷物が結構重く感じられ始め、空港内の店を色々眺めているうちに、そうだ小振りの旅行カバンを一つ買おうと思い立った。しかし、最初に見て廻ったフロアで見た鞄は、いずれもイマイチだった。男性用で総革の良さそうなものがあったが、色が黒しかなかった。半ば諦めて、飛行機の搭乗口近くまで歩いて行くと、そこにも旅行カバンを売る店があった。デザイン的にはビジネスライクな機能追求タイプの物が多かったが、その中に赤い女性用の半分ぐらい革仕様の鞄が売られており、高そうだなと思いながらも店に入ってみた。やはり、値段的には490ユーロだかしたのだが、見ている内にどうしても欲しくなった。欲しいけど、ちょっと高いなという顔色を察してか、店員は20ユーロほどまけてくれると言うので、買うことにした。

ワタシはブランドものにはあまり詳しくないので、てっきりイタリア製だと思っていたのだが、帰国して調べてみると、その鞄はPICARDというドイツ製のものだった。しかも、先日自分の部屋のものをイロイロ整理していた中に、昔見た雑誌で一目惚れしたトートバッグの切り抜きを久し振りに見つけたのだが、よくよく見るとそのトートがPICARD製品だったのである。この偶然にはオドロいた。尤も、そうかそうかと思って、その古い雑誌と同じ型のバッグはないかとネットで調べてみたものの、今売り出しているバッグの中にはそのデザインはなく、他にコレといったものもなかったのだが。
(後日談;私が買った旅行鞄は、本当によくよく見るとPICARDではなくてPIQUADROというイタリア製でした。そりゃそうだよね。なんでイタリアでドイツ製の革バッグ買わなきゃいかんの・・・・)

最後にお気に入りの鞄を買うことが出来、美術品も沢山見て、イタリアの歴史にも触れ、それなりの満足感はあった。けれど、最終的には「もう、暫く旅行はしなくていいわ。やっぱり日本が最高!」という感想が残った。中国の大連に行った時には、これから毎月でも海外旅行に行きたいと思っていたのに、この差はなんだろう。初めて行った大連があまりにもインパクトが強かったせいもあるのかも知れない。イタリアで食べたものが、あまり美味しくなかったこともある。トイレのこともある。でもきっと、観光旅行というのが、あまり性に合わないのかも知れない。次に旅行する時は、もっと別の形で、現地の人の生活振りが見られる旅行にしたいなとも思った。