のーべるブンガク賞

受賞者を知ってオドロいた。昨年ここで、彼の小説を映画化した『日のなごり』の感想とすら言えない薄〜い報告を挙げていたばかりだったが、実はその後、『ワタシを離さないで』の原作を電子で買って、読み始めたばかりのところだったからだ。

実は『日のなごり』を見るきっかけは、別れたオットがSNSで「一番好きな映画」に挙げていたからだった。以前、彼と同姓同名の人がSNSで「好きなbook」に『ライ麦畑でつかまえて』を挙げていた時に、今更…とややギモンに感じつつ、その人が写真ですら少し様子が似ていたので、てっきり元オットかと思っていたが、その後ホンモノが見つかっていた。そして、ふ〜ん、今の彼はどんな映画に感動する人なのだろう…と確認したくなったのだった。映画を見た後、原作者が日本人の名前だったので不思議に思い、調べる内に興味が湧いて、英語のベンキョウにもなるかと思い、『ワタシを〜』を読んでみることにしたのだった。我ながら、なんという鼻の利き方であろうか。慌てて本屋に行かなくて済む。

しかしまぁ、今回はいつにも増してムラカミハルキさんが気の毒だった。元々彼はのーべる賞が欲しいなんて思いもしなかっただろう。それなのに毎年毎年、こういってはなんだが、ファンと称する人たちがハルキを肴に飲み喰いしたいだけのために集まっている(としか思えない)。もういいカゲンに勘弁してあげて欲しい。

個人的には、のーべる賞ハルキ説が出た当初は非常に違和感があったが、『多崎つくると…』を読んで、あらっ、これはあり得るかな…と初めて思った。のーべる賞にはそぐわなくても、それくらい大きな作家だったのだ、と改めて思ったのだった。そういえば日野さんの記事の時に、私は太田光とほとんど感覚が同じなんて書いたが、彼はハルキ嫌いみたいだ。どうして頭で考えようとするかな。あれを面白いと思って読めないのなら、やはりちょっと感覚が違うようだ。他人だから当然だが。

ちなみに、太田と中沢信一の対談『憲法九条を世界遺産に』は今更ながら今日読了した(選挙が近いこともあり)が、憲法九条に対する考え方は同じようだ。