あなそれと「愛してる」

あなそれの最終回はどうなるのかと思っていたらけっこう納得の行く結末だった。そのことをあれこれ書こうと思っていたら、対照的に、夫に「愛してる」と告げて亡くなる人もいて、なんだか色々考えさせられた。勿論あの若さで、しかも愛児二人を残して旅立つのはどんなにか辛いには違いないのだけれど、最後に夫に「愛してる」と言って死ねるとは、なんと幸せな人なのだろうとも思ってしまう。勿論その幸せは幸運なんかではなく、二人が日々こつこつと積み上げた結果なのだと思う。

あなたのことはそれほど」というタイトルを初めて見たとき、私がいつも覗いているブログ「愛していたけどそうでもない(実名挙げてすみません)」を連想した。なんというセンスのあるネーミングだろうかと。バツイチのワタシは「愛していたけど〜」のタイトルを見るたびにドキッとし、「そうか、自分は心の底から愛していたと思っていたけど、結局別れたということは、そうでもなかったということなのだろうなぁ…」と思う。「あなたのことはそれほど」にも似たようなニュアンスを感じながら、実際のドラマを見ると、「二番目に好きな人」と結婚したから夫のことは「それほど」好きじゃないという意味なのかと思っていたのだが、最終回でその夫から言われるのが、「あなたのことはそれほど」なのだと知り納得。

ドラマはドラマとして楽しんでいたつもりだが、いやが上にも自分の結婚生活と重なることも色々あった。離婚があまりにも苦しい経験だったので、長いあいだ自分は捨てられたような気分でいたけれど、最終的に別れを決断したのは自分の方だったということをつい最近思い出した。言葉こそ違え、私が最後に夫と話した時に口にしたことは「あなたのことはそれほど」と同義語だったのだろう。

人生の最期にどう言って死ねたらよいかということを若い時に誰かと話していて、私は「ああ面白かった!」と答えていた。いかにも自分のことしか考えていない自分らしい。ある時期まで、実際にそう言って死ねそう、とも思っていた。今はどうかな。言葉には出さないだろうが、誰かの役に立ったのかな自分は…とは考えるだろう。

いずれにしろ、誰かに「愛してる」と告げて旅立てる確率は、0ではないもののないに等しい。自分で選んだ道にしろ、少し寂しい…かも。