「OUTRAGE」見て来た。

まだ公開二日目だと思うけれど、思ったほど混んでもいなかった。

残酷な場面が何度もあり、右隣の、彼氏と思しき人と一緒に来ていた若い女性は、その度に体を前に屈め顔を覆っていた。ヤクザ映画なので勿論ワタシも、たとえば指を詰めるシーンなどは正視できないのだけれど、隣の女性は暴力シーンの度に本当に辛そうで、この人もしかしたら何かトラウマがあるのでは…と思ったほどだ。

そんな暴力映画なので、面白かったとか良かったとかいう感想は中らないけれど、役者さんの演技を観に行くのにはいいかも。皆、適役というか役になりきっていて、北村さんなんて、こんなにいい俳優さんだったんだ!と驚いた。それに、インテリヤクザ加瀬亮くんという役を充てた監督の眼力も眼力なら、こなす彼も彼だった。英語の発音もびっくりするくらい綺麗で、耳良さそう。流暢そう過ぎて、通じるかどうか分からないところもあったけど(ワタシが聴き取れなかっただけかも)。

尤も、私が昔実際に接したことのあるインテリヤクザは、あんな感じでは全然なかったなぁ。ほんとに、まるで普通のおじさんっぽいけど東大出てる、みたいな。他のヤクザも全然普通のサラリーマン風で、だからこそ怖いなぁと思った。いかにもそれ風(ふう)なら避けて通れるけれど、まるで普通なんだもの。

それと、実際の抗争はどんな感じで起こっているかは知らないけれど、あそこまで仁義なきものかしらと思うと、本物のヤクザがタケシに怒りを感じたりしないのかな、とちょっとシンパイになった。彼が描きたかったのは現実のヤクザの世界ではなくて今の世の中全般のことなのだろうけれど、そんな風に受け取ってくれるものやら。

こういう暴力をエンターティメントとかカタルシスとして受け取るのは自分にはやっぱり無理だけれど、きっとタケシの中にはテーマ云々は別としても暴力を描かずにはいられない衝動があるんだろうな。業のようなものが。きっと、そういうものがあるからこそ、自分もタケシに惹かれるのかも知れないし。

みんな、色々なものを抱えて生きてんだな。自分なんてまだマシだと思って、知らん顔しちゃおうかな。