同僚が

仕事上の重要な書類を紛失してしまい、この数日職場がワサワサしていた。なにしろ紛失したらしい時期が一ヶ月も前のことなので、記憶自体が曖昧ですべてが「…だったような気がする」となってしまっており、皆で手分けして探し始めてから3日目の昨日になって、当初言っていたこととは別のことを言い出した。もう、ナニが真実か分からなくなってしまい、もしかしたらストレスで妄想に入っているのかも知れない。

信用問題に関わることでもあり、皆に迷惑を掛けているという気持ちも手伝ってプレッシャーが強かったためでもあろう昨日はとうとう、もしかしたらもうこの仕事を続けて行けないのではないかと言って泣いていたのだが、それには自分の記憶力に問題があるのでは、という心配もあったようだ。というのは、とあるお宅を尋ねていた時に、我知らず頭が真っ白になった瞬間があったらしく、相手から「大丈夫?」と声をかけられて初めて気づいたのだという。そうなれば話は別である。彼女はこれまでにも二度、今回のような紛失問題を起こしているが、単なるストレス以上の疾患がもしかしたらあるのかも知れず、早々に受診するように勧めた。彼女はアラフォー世代だが、最悪の場合は若年性の認知症等が始まっていないとも限らないからだ。

一方で、私自身の経験から、記憶力というのは年齢と共に徐々に低下するとは限らないことも話した。というのは、30代の後半から40代の始めにかけて、私自身、記憶力が怪しくなった期間があったからである。例えば、40代の始め頃、当時のアルバイト先ではセキュリティのために4桁の数字キーを入力しないとビルの中に入れない仕組みだったのだが、それがある日まったく思い出せない時があったり、同僚から「○○だって言ってたよね?」などと言われても、全くそのようなことを言った憶えがなかったりしたのだ。多分、離婚して一人暮らしが長くなっていたことも影響していたのではないかと思う。

その後は田舎に戻って家族と暮らすようになったし、あまり記憶力を必要としない仕事にもなったのでそう意識しなかったけれど。今の仕事は毎日非常に忙しく、常に頭の中で段取りを考えつつ行動しなければならないので、逆に記憶力はその頃よりは良くなっていることを実感している。勿論メモもしているのだが、多くのことは頭で憶えているし、暫く忘れていてもすぐに思い出す。ネット上の特定のサイトに入る時に必要な脈絡のないID番号なども、しょっちゅう使うところなら10桁ぐらいまで憶えている。

だから、一瞬記憶が飛んだり低下していることがあったからといって、必ずしも脳の疾患とは限らないのだけれど、アラフォーともなればそろそろそういう心配も出てくるということだ。記憶力を維持するためには新しいことを憶える機会を持つのも大事らしいので、資格試験でもなんでもいいからやってみるといいのでは、とも話した。

それと、今回、必要に迫られて普段見ることのない、ひとのデスクの中の書類を見て感じたのだが、やっぱり仕事上の書類でも断捨離って必要だなぁと思った。彼女は普段、とても丁寧で細かい仕事をする人なのだが、その分、色んな書類が全部取ってあり、まぁ取ってあるのはいいが早く戸棚のファイルに移しなさいよというのもかなりあった。私も整理整頓には自信がないが、そのワタシですら呆れるほど、何年も前の書類が後生大事に自分のデスクの中にしまい込んであった。さすがに「これ、もうPCの中に書かれてあるんだから、なんとかした方がいいんじゃない?」と声をかけたところ、「ええ、その内にしようと思って」と言うのだが、その内になんとかできる量を遥かに超えていた。

まぁ、人のことは言っておられない。明日は我が身であるから、もっと整理整頓しながら一つ一つの手続きを確実にやっていかなくては…。