「スマイル」を見て。

ビトじゃなくても、人一人殺してしまったら、理由はどうあれ自分も死刑になっても仕方がないと思うのがマトモな人間だと思う。二人も三人も殺しといて、控訴したり結婚したいなどと言ったりする人の気が知れない。ま、殺意が芽生えた次点で相手はもうヒトではなくて虫けらのような存在に貶められているのだから、自分の大切な命とは引き換えにはできない、ということなんだろうけれど。実際問題としては、こっちの方が多いんだろうな。だから被害者の家族の話を直接聞いたりすることが重要なんだよね。相手も人間なんだということを分かってもらうために。

一方、裁く側としたら(法律に照らし合わせた量刑なんてのは置いとくとして)、死刑という判決はそうそう下せないのではないかと思う。これまでは他人事として色んな事件を見るにつけ、大抵は被害者側に加担して安易に「こんなの死刑だ!」などと言って来たけれど、実際に裁判員に選ばれたら、やっぱりためらってしまうだろうな。もし死刑を選んでしまったら、寝付けない日が多くなりそうだし。

えん罪も結構ありそうだな。これは他人事ではなくて、昔住んでいた町で殺人事件があった時、うちの父親のアリバイを警察が聴きに来たらしくて、母がカンカンに怒っていた。勿論、父にはれっきとしたアリバイがあり、真犯人が見つかったから良かったものの、もし見つかっていなかったとしたらと思うとゾッとする。殺してもいないのに殺しましたと言えば、自分ばかりか家族や親類縁者も酷い目に遭わされるということが分かっていながら「自供」させてしまうとは、どんな取り調べ方をしているか想像にかたくない。DNAが合ってたからって、他に合致しない点はいくつもあっただろうに。

それと、いつも不思議に思うのは「黙秘権」のこと。映画やドラマを見ると、弁護士が勧める場合も多いみたいだけど、やってないのになんでそんなものが必要なんだろう?やっていなければ自分の証言に破綻が出ることもないと思うんだけど。勿論、記憶の間違いみたいなものはあるだろうけど。犯人である場合なら尚更、すべて真実を喋らせるべきで、「黙秘権」なんて与える必要がないような気がするんだけど。どこからそういう権利が出て来たのかねぇ。不思議だ。

来週の予告でビトが「僕が絶対に君を守る」とか言ってたけど、その気持ちが強過ぎると、また彼女に対する脅威が現れた時に攻撃的にならざるを得ないんじゃないか、と気になった。とはいっても、男と女の愛というのは、守り守られることの幻想で成り立っているものだとは思うんだけど。

最終回、どうなるか楽しみだな。

ザ・クイズショウ」の最終回は、謎解きはともかく、二人の熱い演技に対しては妙にシラケてしまったな。やっぱりあれはテレビドラマでなく、小劇場の舞台向きなのかも。