どういう職に就きたいか分からない

という気持ちは、若い頃ワタシもよく抱いていた。十代の頃は夢みたいな、自分におよそそぐわない仕事に憧れてもいたけれど、あっさり挫折してからは、心の奥底にはまだ何かありそうでも掘り起こさずにいた。丁度、結婚するかもしれない人と巡り会った時期でもあり、仕事といってもどこかで制限付きのような気がしていた。先ずは、相手や相手の家族から突飛に思われないような堅気の仕事。それと、私の若い頃にはまだ資本主義社会というものに積極的に与したくない気持ちがあって、小さな商店とかならまだ良いけれど、いかにもビジネスビジネスした仕事には就きたくないとも思っていた。

そう考えると、福祉の世界というのは割と入り易い位置にある。人はなんで生きているんだろうというギモンもあったから、当時から老人には興味があった。生き続けることにどんな意味があるのか、なにか分かるんじゃないかという期待のようなもの。でも、だからと言って、あまりアヤフヤな気持ちでこの世界に入るのもお勧めしない。自分も、この仕事が合っているのかどうか、未だに分からない。人と人とが関わりあう仕事だから、喜びも勿論あるけれど、辛い事も多い。

今は相談職だけれど、始めは現業だったから、認知症の人にいきなり髪を引っ張られて引き摺り回されたこともあれば、ツネられて痣(あざ)だらけになったこともある。体力もすごく要る。良い同僚に恵まれないと、大変なことばかり押し付けられたりもする。人間関係はどこの職場でも大変だとは思うけれど、福祉職なんて、人から良い人だと思われたくてなっている(自分もそれだったのかも)本当は嫌な奴もけっこういて、ウンチの臭いがしていても気づかない振りをしたり、重い人の移乗介助は人にやらせてばかりいる人とか、本当にいるんだから。

だから、とりあえず就く仕事としてはあまり勧められないかも知れない。勿論、福祉と一口で言っても色んな職種があるから、一概には言えないけれど。