従弟の息子が

大学に進学することになったので、お祝いを幾らにするかという話を姉としていた。高校入学の時にお祝いをして、電話でお礼を言って来た時には、とてもドライな感じで「大層なお金を頂きましてどうもありがとう(といっても大した額ではない)、へっへっへ」みたいな感じで、とても頭が良いコとは思えなかったけれど学業成績はまんべんなく良かったようで、国立に受かったとか。目出たい。

彼は三兄弟の真ん中で兄弟揃って小さい時からサッカーをやっていた。兄はまだ大学生だけれど、卒業したら念願のプロサッカー選手になれそうな様子で、次男の彼も中学まではサッカーをやっていた。でも、兄のようにプロを目指せるレベルではなかったらしく、その後サッカーはやめて勉学に勤しんでいたようだ。

長男が中学の時すでにプロを目指していると聞いて、どの程度のレベルなのかなと一度見に行ったら本当に頭の良い試合運びをしていたので、その後も何度か試合を見に行っていた。従弟の車で次男や三男と一緒に長男の試合を見に行った時、前に従弟から、次男だけがサッカーの才能がないという話を聞いていたのでなんとなく気にして彼を見ていた。スポーツをしている男の子の世界では、そのスポーツにより秀でている者が君臨しているもので、次男は一番才能があると言われている三男に小馬鹿にされていて、見ていてちょっとドキッとするほど自信なさげで、おどおどしていた。

なにもサッカー選手になるだけが人生じゃなかろうにと、高校の入学祝いの時にはお祝い金と一緒に、丁度話題になっていた村上龍の「13歳のハローワーク」を贈った。それは少し彼を傷つけるかも知れないけれど、サッカー選手になれる人なんてホンの一握りに過ぎないのだし、できるだけ早く少しでも興味の持てる道を探せれば良いのでは、と思ったからだ。

尤も、彼が素直にあの本を読んでくれたのかどうかは分からない。今はまだ大学への進学が決まっただけでどんな世界を目指すことにしたのか、あるいはまだ何も見つかっていなくて取りあえず大学に行くことにしたのかすら分からないけれど、いつか、この道を選んで良かったな、という仕事に出逢って欲しいと心から思う。

ああ、それにしても卒業シーズン真っ盛りなんだな。宿題くんもおわっちゃったしね。