新橋演舞場で歌舞伎

を見るのは初めてだ。近くの弁当屋でお茶と弁当を買って雨の中を向かったが、歌舞伎座とこんなに近かったんだなぁ。

当日券は大抵値段の高い席しか残っていない。念のためと思って取っておいた大枚一枚はたいて、二階上手側の席に座った。客の入りは八分といったところか。出し物は『一谷嫩軍記 熊谷陣屋』『うかれ坊主』『助六由縁江戸桜』の順。

『熊谷陣屋』は2007年にも見たし、もしかしたらその前にも一回ぐらい見てるのかも。昼の部の『菅原伝授手習鑑』や『義経千本桜 吉野山』と並んでお馴染み感のある演目だ。3年前の時は熊谷の吉右衛門に気を取られていたような気がするけれど、今回は染五郎の熊谷より、七之助の演じた相模に感心した。なんか、知らない間にものっそ成長した感じで、芝居に釣られて泣きそうになった。もっとも3年前の福助も良かったし、もっと経験豊かな役者さん達が色々演じているだろうから七之助はまだまだという評価なのかも知れない。でも私はすごくいいと思ったし、将来が楽しみになって来た。ちなみに彼は松潤と高校で同期らしいし松潤もたまに観に来ているということなので、もしやと思って一階の前の方の席を探してみたが、いないようだった。って、そうそういるワケないっつーの。でも、残念だな。あの芝居見たら絶対刺激になったと思うのに。ああ、でも花魁役の方はまだまだ感があったかな。歩き方とか男っぽくて(笑)。

『うかれ坊主』の松緑さんの舞踊も良かったけれど、もっと上手(うわて)はいそうな気がした。というか、松緑さんがこのままどんどん磨いて行かれるのかな。

助六由縁江戸桜』になったら途端に客席が満席になった。今の海老蔵人気って凄いんだな。ワタシはあんまり好きじゃないんですけど。どうにもあの鼻にかかった声がダメだし、芝居も上手いと思ったことない。『熊谷陣屋』の義経なんか、シロートかと思った。でも、見た目で雰囲気は出せるのだよね。

助六役はルックス的にもホントにぴったりだと思うし、芝居も手慣れているようだった。歌舞伎界のアイドルって感じもしたけれど、元々歌舞伎って今みたいにちょっと敷居が高い感じというよりは、お江戸のジャニーズみたいなところがあったんだろうから、そういう意味では昔の歌舞伎の雰囲気をホーフツとさせて楽しいとも言える。とにかく、今一番ノッテル役者さんであることは確かなんだろうな。それと今日は「水入り」もあった。実際に水を張った樽の中にザブーンと入ってしまうのである。オドロいたわ。

最後まで見てたら、東京駅まで戻るのにかなり慌てた。バスの中ではあまり眠れなかったけど、そのまま仕事に行った。眠くなるかも知れないと思ったけれど、案外大丈夫だったな。まだまだ若いじゃん自分、って思った。