『クローサー』と『カメレオン』

なんだかんだ言っても映画館は遠いので、二度目の『大奥』も『Beck』もワザワザ出掛けて行くほどの意欲は出ず、録画してある映画を順繰りに見ることにした。阪本順治監督の『カメレオン』とマイク・ニコルズ監督の『クローサー』。どちらも予備知識はほとんどない。

『カメレオン』は主演が藤原竜也で共演が水川あさみだというのに、そんな映画があることすら全然知らなかった。2008年制作らしいけれど、評判も聞かないようなこの映画をこの時期にやっているのは、もしかしたら谷啓さんの追悼番組の一環だったのかも。谷さんは犬塚さんと共に、インチキ旅芝居の役者役だった。

舞台での藤原竜也は素晴しいけれど、映像はそうでもないんじゃ…と、テレビの『新撰組』を見て以来ワタシは思っているので、映画はほとんど見ていない。『さぶ』は良かったけど、あれだけじゃないかなぁ。あの人、今回もやたらハードボイルドな役をやってるけど、どう見てもそんなに強そうに見えない。動きはいいんだけど、線が細すぎるもん。

『カメレオン』は、もし『闇の子供たち』を見る前だったらあまりリアリティを感じなかったかも知れないけど、こういうこともあるのかもなぁ…と思わせられた。ただ、ワタシの好きな阪本映画は『王手』で、あの時はこんなつまらないカメラワークじゃなかったような気がするなぁ。『闇の子供たち』もこんな感じで同じ年の製作だから、凄まじい現実の前にはカット割りのことなんかどーでも良くなって来たのかも知れない。でも、少なくとも画像だけでもなんとかしないと、B級っぽい評価は免れないと思うけどなぁ。

『クローサー(Closer)』の方は、ジュード・ロウジュリア・ロバーツクライヴ・オーウェンナタリー・ポートマンの共演ということで、公開当時には評判になっていたような記憶もうっすらとある。ジュード・ロウがけっこう好きなので、やったね!と思いながら見始めたけれど、恋愛自体、もう遠い世界の出来事なのでミョーに冷静に見てしまった。浮気したとかされたとかで、悩み苦しむ男女。勿論ワタシにも身に覚えはあり、別れた後でも、無言電話を掛けて嫌がらせをしてやろうかとか、不幸になりやがれ!(ドコカで見た科白…)と思ったりしたことはあるが、今となっては「愛とかなんとか、そんなことで一々騒がなくても…」と思う。笑。トシを取るとはこういうことか。

だってしょうがないじゃないのよ。恋愛中だって結婚したって、また他の誰かを好きになることはあるし、そうなったら子供じゃないんだからカラダの関係も出来るし、そしたら新しい相手の方が新鮮でいいに決まってるし、かといって元の彼/彼女が嫌いになったわけじゃないし、色んな縁も切りたくないこともあるだろうし。

…なんて、今は思うけれど、現実になってみれば今だってどうなることか。相手にもよるしね。同じ「好き」でも、ちっとも焼きもちを焼かずに済む相手と、芸能人にすらシットしてしまうような相手もいるからなぁ。なんとも言えないけど。

とにかく、出演者が各自名演のワリには「恋愛ってヤッカイだなぁ」とただただ淡々と観てしまった。まだ恋愛の真っただ中にいる人には面白いのかも。