東京ジャズ

午後二時近くに家に帰ってテレビを点けたら、9月上旬の「東京ジャズ2010」をやっていた。綾戸智恵ジュニア・マンス(トリオ)やマーカス・ミラーがN響と共演したりしていたが、番組欄を見るとかなり長時間やるようで、全部見たいとは限らないから録画を仕掛けておいた。

少し経って見てみたら、久し振りにTOKUが、塩谷哲のピアノとのDuoで大好きなスティビー・ワンダーの「Overjoyed」を歌っていたので聴いた。

私はこのTOKUという人の声が大好きである。もしかしたら、大野くんの声と同じぐらい好きかも知れない。鼻にかかった、むしろかかり過ぎるほどくぐもった声で口をあまり開けずに歌うのであるが、大変セクシーな声質に感じる。生では TKY というグループでしか聴いたことがないし、持っている CD も TKY だけだが、TSUTAYA で何枚も借りて聴いた時期もあった。勿論、楽器奏者(フリューゲルホーン)だからフレージングそのものも興味深いのだけれど、なんといってもあの声だ。「日本のチェット・ベイカー」と言われているらしいけれど、チェット・ベイカーはベツに好きではない。あれはジィさんの囁きである。TOKUの声の奥には情熱が感じられるのだ。

塩谷さんのイントロがいやにゆっくりなテンポで始まったなと思ったら、ただでさえ難しい曲なので、というか元歌通りに歌えば符割的には難しくないのだけど、TOKUさんの符割がトリッキーなので、途中であれれワンテンポ喰ってしまったようだった。TOKUが塩谷に目で「お前、間違ってない?」というような表情をしていたが、私にはTOKUの方が喰ったように聴こえた。

でも、最終的にはそんなことすらもどうでも良くなってしまうほど(勿論、持ち直したし)、TOKUの Overjoyed は良かった。声そのものの魅力といいフレージングといい声のコントロールといい、羨ましいなぁと思った。やっぱ、継続は力なりですね。前に聴いた歌より、また上手くなってるもん。これならスティビーだって喜ぶと思うよ。

夕食後には姉と一緒に、渡辺香津美TOCHIKAバンド、クリス・ミン・ドーキー&ザ・ノーマッズ、ラリー・カールトン&松本孝弘などを一曲ずつ聴いた。

渡辺香津美TOCHIKAバンドで「ユニコーン」なんか演奏されたヒにゃあ、懐かし感が一杯だ。なんせ十代の頃は一時、追っかけみたいに香津美を聴いてたこともあったのだ。

少しだけジャズを知っている姉に、「このベースのマーカス・ミラーって人はマイルスバンドの晩年の頃にマイルスの片腕って言われた人なのね。で、ドラムのオマー・ハキムはWeather Reportのドラマーでグラミー賞にもノミネートされたりした人なんだけど、嵐のアルバムでも演奏してるんだよ」などと説明すると、へぇ〜なんで?と訊かれたので、「知らない。ツテがあったんじゃない?」と答えておいた。だって謎だもん。

クリス・ミン・ドーキーのバンドは初めて聴いたけど、好きだな。ノリノリで、踊れるものなら踊りたかったし、サイレント・ベースやってみたくなった(やらないけど)。

一旦中断して「しやがれ」を見た後は、また「東京ジャズ」に戻って、一人で寺久保エレナ(札幌在住の高校生アルトサックス奏者)を聴いた。前に何かの番組で見て彼女のことは知っていたのだけれど、今回はロン・カーター(b)、オマー・ハキム(ds)…すんげーバックである。でも、オマーが嵐のバックもやっていることを知っていると、さほど有り難くも思えないのが、いいのか悪いのか(苦笑)。期せずしてロン・カーターのランニングベースなんか聴いたけれど、若い娘っこのためならああいう演奏もしてくれるのねぇ。

しやがれは、なんで「未知との遭遇」やらなかったんだろう?最近、あのコーナーの方が楽しみだったりする。といっても、大泉さんの北海道案内も、色々面白かったけどね。