伊集院静さんの

『お父やんとオジさん』を図書館から借りて読み始めている。終戦直後の在日の人達の心情や暮らし振りが記されていて非常に興味深いのだが、そうスイスイと読めるものではなく、ぶ厚い本なので結局は買ってしまうのかも。

前の「にび色の日記」に書いたが、伊集院さんとは共通の知人がいて、作家で唯一握手したことのある人だ。まだ夏目さんと婚約中の頃だった。握手するまで、している時、その後も一度も人の顔を見ない人だったので私のことは全く憶えていないだろうが。その時は、変わった人だなと思ったけれど、その後テレビで陽水や真野響子などと対談したり美術館巡りをしたりしているのを見ると、なんていいオトコだろうと思う。色んな女優さんをトリコにしたのも無理はない。県内の競輪場にもきっと来ているに違いないから、時々行って探してみようかしら(嘘)。

読んでいて、昔の人達が綺麗な日本語を使っていたというのは分かるのだけれども、ここまで丁寧だったのかしら、とも思う。自分を含め、あまりにも乱雑になった日本語に慣れ過ぎていて、なにか現実味がない。そして、主人公の母親像は、夏目さんとどうしてもオーバーラップしてしまう。どこまでも美しくて、はかなさが漂う。女の目から見ると母親ほど強い存在はないと思えるのだけれど、男の目から見る母親は、やはり守るべき存在としての弱さを許容しているのだろうか。