「こわれゆく世界の中で」と「善き人のためのソナタ」

土日は家で映画を見ていた。

「こわれゆく〜」の監督は「イングリッシュ・ペイシャント」の人というから、よほどジュリエット・ビノシュがお気に入りなんだな。「ポンヌフの恋人」ではあんなにエキセントリックだった彼女も、今や堂々としたおっ母さん俳優になっていた。

ジュード・ロウはルックスしか知らなかった頃はあまり好きではなかったのだけれど、「リプリー(『太陽がいっぱい』のリメイク映画)」での脇役を見て案外演技派なんだなと思い、映画も見たいと思うようになった。ちゃんと見たのは前にここで書いた「クローサー」以来だけど、この「こわれゆく世界の中で」も愛に悩む男女という意味では、ちょっと似たような感じ。でも「クローサー」ほど理屈っぽくなくて、この男性の気持ちは分かるよなぁと思いながら見れたし、結構面白かった。

善き人のためのソナタ」はとても長い映画だったけど、飽きることなく見れた。ベルリンの壁崩壊直前、ほんの20数年前まで東ドイツってあんな感じだったのかなぁと、改めて恐ろしくなった。国家保安省って、ゲシュタポの残党みたいな人達でやってたんだろうか。壁が崩壊してからも色々問題はあるようだけれど、少なくともあんな監視や思想統制から逃れただけでも良かったと思う。

一つだけちょっと不満だったのは、「善き人のためのソナタ」を初めてあの劇作家が演奏した時、別にピアニストじゃないから下手なのはしょうがないんだけど、下手なりに、たどたどしくても、曲をもっと生かすような演奏でないと、監視役の人が感動の涙を流すまでは行かないんじゃないかと…。少なくともワタシがあの役人なら、泣けないなぁ。

でも、全体としてはとても良い映画だったし、タメになった(なんだこの感想にもならん感想…)。