土地と人柄

よく都会の人が田舎を旅すると、田舎の人はみな温かいと言ったり、逆に、京都の人は「いけず」だとか言って土地と人柄の相関関係を言うけれど、そんなの個人差があって一概に言えないんじゃない?と思って来た。でも、今回ばかりは東北の人達…というか石巻のお年寄りって温かいなぁ、と思った。

今回の避難所では毎日午前中の一時間あまり、高齢の方が集まってレクリエーション活動をしたのだけれど、いつも非常に和気あいあいとしており、認知症気味の人がいても決して邪険にしたりしない。私が昔働いていた施設や今職場に併設されている施設では、自分よりちょっとボケていたりモタモタしている人に対して、見下したような態度を取る人が必ずと言って良いほどいる。だから、どこでもそういうものなんだろうなぁと思っていたけれど、違うんだわ。石巻から帰ってこちらの施設の人達を見ると、すごくギスギスしているように感じる。う〜ん、でもそれは土地柄じゃなくて、同じ苦難を味わったもの同士、というのもあるのかな。

最初の二日間は歌ったり踊ったり体操をしたりで、被災にまつわることを伺う機会はなかったけれども、最後の日になると、問わず語りに3月11日の時のことをようやく口にされた。足が悪く、若い孫娘におぶわれて高所に辿り着いた途端に目の前に津波が押し寄せて来たこと、4年前にローンを組んで漸く購入した新居を、あっと言う間に流された人…苦しかった経験を、それこそ堰を切ったように話される。でも、途方に暮れておられるには違いないが、お年寄りの話はどこかあっけらかんと突き抜けていた。「いづまでくよくよしだってしかたねぇもの、元気出していがなきゃ」と自ら口にされた方もいた。未曾有の惨事には違いないが、色んな苦労をくぐり抜けた人達にとっては、これもいつかは乗り越えられるということが経験的に分かっておられるのだろう。その言葉を伺って、こちらも少し安心したし、年を取るってやっぱりいいこともあるんだなと思わせられた。

かと言って、他のボランティアのように「皆さん、お強いですね」とか「逆に元気をもらいました」とは言えなかった。それはなにか少し、違うような気がしたなぁ。まぁ、人それぞれの感じ方ですけど。