朝までには一旦

お腹の緩みも止まったので、階下のレストランで朝食をとることにした。イタリアでは日本の一階に当たるフロアが0階で、そこから下は−(マイナス)1階、日本でいう2階が1階なのだった。エレベーターまでの廊下には、枯山水のようなデザインの一角があった。

添乗員さんからは、イタリアのホテルでの朝食はパンと飲み物ぐらいしか出ないと言われていたが、スクランブルエッグあり、ハムやベーコンあり、果物あり、あと、別の場所にあったので気づかなかったが生野菜もあり、日本のホテル並に充実していた。パンも美味しかった。

ミラノまではバスで移動。今回のツアーは非常に安いので、ホテルはどこも市内から離れたところなのだ。

日本を発つ時に姉から、向こうには炭酸入りの水しか売ってないらしいからミネラルウォーターを持参するように言われていたのだが、バスの中では運転手がガス抜きのミネラルウォーターを1ユーロで販売しており、何度かそれを買った。しかし一度、とある駅の自動販売機で別のものを買ったところ、炭酸入りの水だった。現地の人はそちらの方を好むというが、何とも飲み辛かった。

ミラノ市内のスカラ広場に着くと、オペラで有名なスカラ座は勿論、トラサルディだのプラダなどの本店やルイ・ヴィトンなどの店が建ち並ぶ。いずれも高級過ぎて、入ることも憚れるような店構えである。そこから更に添乗員さんにドゥオーモ(大聖堂)前まで案内され、周辺での見所と再集合場所を説明されたあと、解散。

ここでの自由時間は3時間しかないので、早速ドゥオーモに。このドゥオーモは階段もしくはエレベーターで屋上に上ることができ、ミラノの街を一望することができるとのことだったが、時間があまりないのでエレベーターで上がり、屋上からまた何枚も写真を撮った。降りて来て中に入ると、おお、これがそうか!高い天井や壁面一杯には、噂に聞いた素晴しい絵画の数々やステンドグラス。沢山の信者の為の椅子が置かれた礼拝堂・・・。重厚かつ豪華な、イメージしていた通りのイタリアがそこにあった。フラッシュをたかなければ撮影はオーケーなので、何枚も撮った。

一通り廻って出口近くに行くと、無愛想なオジさんが土産物を売っている一角があった。絵はがきやキーホルダーなど沢山の商品に番号が付けられており、それらを買う客で行列が出来ていた。絵はがきと、可愛い石で出来たブレスを買おうかなとも思ったが、結局は絵はがきだけ買った。旅はこれから。まだまだ欲しいものが出てくるかも知れないので、どうしてもというもの以外は買わないことにしようと思った。何しろ日本で両替して来たのは200ユーロだけなのだ。

ドゥオーモを出てからは、レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館に行ってみようと思い、少し冒険だったが一人で地下鉄に乗ってみた。片道1.5ユーロで、90分以内ならバスにも乗れる。イタリアの地下鉄は路線が2つか3つぐらいしかなく、始発と終着駅の名前が決まっているので、非常に分かり易い。東京なんか、数年行かないとナニがなんだかサッパリ分からないくらいになっており、よほど分かりづらい。あれ、外人さんだともっと分からないだろうなぁ。

とは言え、地下鉄の車内に掲げられた路線図は、日本のように進行方向に沿って描かれてはいないので、最初それに気づかずに、すわっ!反対側に乗ってしまったかと思い、慌てて反対側に乗り換えたら元の駅に戻ってしまった、という失敗はあった。まぁこれは、日本が出来過ぎということだろう。

レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館の最寄り駅S.Amblogioに降り立ち、とりあえず歩いてみたが、どこにもそれらしき建物は見られなかった。途中、現地の人らしきオバさんに「レオナルド・ダ・ヴィンチミュージアム」と訊ねてみたが、レオナルド・ダ・ヴィンチは通じているようだが、ミュージアムが通じないのか、分からないという動作をしていた。仕方なく、少し散策をしてからドゥオーモ近くまで戻った。博物館に行けるに越したことはないが、地下鉄に一人で乗ってみることも一つの目的だったので、それなりに満足した。

添乗員からドゥオーモ近くのトイレの場所を聞いていたので、本屋などが入ったビルの地下に入ると、例によって便座なしの汚いトイレだった。昼食を済ませておくようにとのことだったが、食欲は全くなかった。しかし、イタリアは空気が乾燥しており喉だけは乾く。結局、近くのバール(Bar=立ち食いや立ち飲みなどの店)でジェラート(2.5ユーロ)を買ったり、自販機で買ったジュースを飲んだりしたのだが、これらが後にエライ結果を招くことになった。ジェラートは、あまり聞いたことのない種類を選んで食べたが、いつもサーティワンなんかで食べているせいか、特別美味しいとは思わなかった。

集合場所に戻り、ヴェローナへと向かう。