今日は今日とて原信夫と

シャープスアンドフラッツ(#&♭)のラストコンサートに行ってきた。ほんとは前日の阿川泰子にも行きたかったんだけど、連日なのでこちらだけにした。

ちなみに私は阿川泰子ファンというわけではないけれど、彼女の歌は音楽的というか、スムーズに流れる歌だなぁ、と思う。スムーズに流れるって、すごく大切なことなんだよね。

でも昔、私がデビューした店に彼女がよく出演していたので、パルコ劇場で彼女がトミー・フラナガントリオの歌伴というとんでもなく豪華なコンサートをした時に、チケットもぎりを手伝わされた。でも、その時会場から漏れて来る演奏を聴きながら、阿川さんって案外ガンコな人なんだなぁ…と思った。フラナガンがこれでもかこれでもかと彼女を煽っているのに、とことん原曲にしがみついている感じだったんだもの。外で聴いてる分にはワタシでさえ、この伴奏ならどんな風にでも自由に歌えそう!と思うくらい、フラナガンのピアノは懐が深い感じだったのに。まぁ、冒険するわけには行かなかったんだろうけど、あれはフラナガンもアタマに来ただろうけど、本人も応えられなかったのは自覚あるだろうから、辛かったんじゃないかと思う。あれから20年以上経て、どんな風に変わったのか、あるいは変わっていないのか、聴いてみたい気もした。

シャープの方も若い頃、色んなジャズのイベントで何度か聴いているけれど、最後に聴いてからは少なくとも20年ぐらいは経っていそうだな。原信夫さんとは、私が池袋のドでかいクラブ(といっても土地柄、ほとんどキャバレーみたい)で歌っていた時にたまたま客としていらしてて、社長が引き合わせてくれたことがあった。勿論、原さんはそんな所に好き好んで来ておられた訳ではなく、どなたかに連れて来られたのだった。で、色々美空ひばりさんの話を伺ったり、声の出し方についてアドバイスを頂いた。そして、まぁ社交辞令だったんだろうけれど、もし故郷でコンサートするようなことがあったらバックで演奏してあげると言われた。けれど、叶う事もなく終わってしまったな。

ああ、それにしてもシャープのあのマッタリしたテーマ曲って、いつ聴いてもほんとにカッコいい。それに、どの曲もアレンジがまた趣味がいいのだなぁ。美空ひばりの「真っ赤な太陽」を昔初めて聴いた時はガクッと来たけど(笑)、今日のアレンジは倍テン風ですごく良かった。もしかして作曲した御本人も、あれではなぁ…と思っておられたのかしら?アンコールの最後にワタシの大嫌いな「It's a small world」を演ったけれど、ああいうアレンジだったらあの曲も聴けるんだなぁ。

こんなにいいバンドなのに、やめちゃうのかぁ。信じられない。まぁ、原さんはさすがに少し体力が落ちて来たらしい様子はあったけれども、バンド全体もソリストも聴き応え充分だった。特に、久し振りに大山日出男さんのアルト聴いたけど、相変わらずほんと素晴らしかった。う〜ん、原さんのバンドではなくなるけど、きっとバンド自体は誰かがリーダーになって引き継がれるのだろうな。でないと、勿体なさ過ぎる。

でも、こういう演奏会で観客の手拍子が入ると、オフビート派とオンビート派の人で分かれることが結構ある。私は根っから裏で感じるヒトなので不思議でしょうがないんだけど、オンの人の方が数が多いとどうしても遠慮して叩けなくなってしまうのだなぁ。皆さん、ジャズを聴きに行く時は、二拍目で拍子を取るように練習して来て下さい!なんて、言えもしないしねぇ…。