生まれて初めて

セイシン科というところに行った。これまでの人生、何度も自分はオカシイのではないか?と思ったことはあったが、とは言ってもセイシン科の門をくぐるホドではあるまいとギリギリのところで踏ん張っていたのであるが。

しかし、昨今は誰でも心の病を抱えていてもおかしくはないもの、だいぶ開かれた雰囲気になっているのかと思いきや、そうでもなかった。

ええと、話が前後するが、なぜ行くことになったかというと。先月入院して足の手術をしたことはここに書いたが、退院の日にケータイの電源とボールペンを病室に忘れて来てしまい、迎えに来てくれた姉にたいそう怒られた。いくつになっても姉は怖いモノである。勿論、翌日の仕事帰りに自分で取りに行ったのだが、数日後、今度は職場に昼の薬を忘れて来てしまい、別の姉が呆れ果て、あんたオカシイんじゃないの?と。つまり、認知症を疑われたわけである。一度診てもらった方がいいんじゃないの?と。

正直、忘れものに関しては今に始まったことじゃないので、姉たちが言うほどには気にしていなかった。自慢じゃないが小学校の頃からワタシは忘れ物の名人であった。それが理由で教室で立たされたり、家に取りに戻ったことが何度もあったし、大人になってからも色々エピソードはつきず、その度に身近な人を呆れさせて来たものである。ええ、自慢じゃないですが。

シンパイだったのは、以前からここに書いて来た、夜中の大声の寝言が、ここへ来て足をバタバタさせるなどの身体症状を伴って来たことである。以前、ネットで医者に相談した時には、悪夢を見るだけで身体症状がなければレム睡眠行動障害(以下、レム障と記す)にはあたらないと言われたのだが、これはリッパなレム障ではないかと思われたのである。

しかし、レム障自体がそれほど怖いわけではない。ネットで色々調べてみると、レム障はしばしば、レビー小体型にんち症(以下、レビーと表記)の前駆症状として現れると書いてあったのである。これは怖い。今思えば、あるつと思っていた亡き父のにんち症は、レビーだったのかもと思える。レビーの特徴は幻視・幻覚であるが、自分にはまだ起きていない。しかし、もしレビーである可能性が高いのであれば、「前駆症状」から発症までの間を少しでも延ばす方法があれば聞いておきたい、と思ったのである。

ネット相談した医師が挙げていた、睡眠障害の専門医がいるという医院に行き、レム障のこと、父のこと、去年、数分だけだが記憶喪失になったこと、レビーの心配等を話したが、その医院ではCTや血流検査はできないから大病院に行ってくれと言われ、後日紹介状を受けたのが本日のセイシン科だったのである。まぁ、いくつか病院の候補があった中で、選んだ自分が悪いんだけど。

で、受診だが。以前から仕事で名前を知ってはいた意外に若くて辛気臭い担当医から、これまでの学歴や職歴を聞かれ(なんのためか不明、記憶力を試された?)、いわゆる長谷川スケール(テスト)を受けただけである。29/30点という成績は年齢相応なので、CTや血流検査までは受ける必要はないように思えるが、心配なら受けてみますか?と言われ、一応の予約はしてきたが、自分の意図するところとは少しずれている。担当医は、「もしレビーなら、もっと進行しないとレム障は起きない」と言っていたが、レビーの本にはあくまで「前駆症状」、つまり、発症する以前の特徴としてレム障を挙げている。勿論、本を書いた人はレビーの専門医なので詳しく、レビーの専門医は当県にはいないとのことだ。しかし、今の段階で他県まで行って調べてもらっても診断は難しいのかも知れない。

レビーは、もし発症すると予後6年ぐらいのようだ。今が「前駆症状」で、発症は10年先か20年先かも知れないが、ここ数年で発症する可能性もあるのだろう。とすれば、今の内にやっておかなければいけないこともあるだろうし、もうやらなくてもいいこともあるのかも知れない。なんにしろ、いつどうなってもいいように、色々整理しておかなくては、そんな心境。