「Mishima」を見た。

日本では公開していないらしいのだが、とある方のご好意でDVDが送られて来て、見れたのだ。正直、最初は、あらあら今頃三島由起夫ですか、しかも緒方拳が三島役を?…と、ヤヤ訝しく思いながら見始めたのだけれど、予想外に面白かったのだなぁ。

三島役は坂東八十助をはじめ年代別に色んな人が演じていて、脇役もとにかく豪華(ジュリーとか横尾忠則も出ている)。キャストが豪華過ぎるのに限って面白いものはないと思っていたのだけれど、この映画に関してはそんなことはなかった。特に八十助は出色で、実際にあそこまで三島の吃音が強かったかは分からないものの、存在感が素晴らしかった。映画でありながら舞台仕立ての部分も多く、でもそれが効果的だったと思う。緒方拳は右っぽいニオイも確かにするので、見ているとさほど違和感はなくなったけれど、後半はラフな地が出ちゃってて、サスガにミシマはこんなユルくないだろうと思ったな。

あの事件があったのは高校生の頃だったのだけれど、ああ、こんな感じでコトが進んで行ったのかという半ドキュメントとしても興味深かった。当時、学校で何時限目かの授業開始直前にそのニュースを聞いた自分は、それまで彼の小説なんて読んだこともなかったのになんだかショックで、授業をサボって海に行ったのを憶えている。その後、「午後の曳航」を買って読んだが、面白かったので「仮面の告白」や「金閣寺」なども続けて読んだ。すごい作家だったんだなと思った。あんな死に方をしなければ読むこともなかったのかも知れないけれど。そういう意味では、小説や戯曲だけでなく、生き方までの総てが彼の作品だったのかもなぁ。